◆揖斐川のNPOが24日からシベリア追悼訪問 ◆




祈り人形を作製した高橋副理事長(左)と竹とんぼを手掛けた長柄さん=揖斐川町乙原で

 NPO法人「ロシアとの友好・親善をすすめる会」(揖斐川町東横山)の一行が二十四日から三十日まで、シベリア南東部のアムール州イワノフカ村などを訪れる。シベリア出兵やシベリア抑留の犠牲者を追悼し、現地の人たちと交流を深めるための旅。六年目となる今回は、手作りの竹とんぼと祈り人形を現地へのおみやげに持参する。
 イワノフカはシベリア出兵時、日本軍がゲリラ部隊の拠点とみて民間人約三百人を虐殺したとされる場所。シベリア抑留では多くの日本人捕虜が周辺の収容所で命を落とし、一九九五年に全国抑留者補償協議会の故・斎藤六郎会長が双方の冥福を祈って同地に日ロ共同追悼碑を建立した。
 今回訪露するのは、抑留体験があり、NPO発足前から約二十年にわたって慰霊を続ける揖斐川町東横山の横山周導理事長(87)ら十人。追悼碑のほか、周辺の日本人墓地、村役場、学校、施設などを訪れ、墓地の管理人や現地の子どもと交流する。
 竹とんぼは、同町清水の長柄佳朗さん(70)がキリの木を削って五十六本を制作した。昨年は児童養護施設などで子どもに四十五本を贈ったが全員には配りきれなかったといい、「全部の子に行きわたれば」と長柄さん。今回は同行しないものの、仲間に託す。
 同町乙原の高橋毅副理事長(68)も高さ十センチ前後の祈り人形を六体ずつ、十セット用意。自宅畑のクリの枝を使い、水性ペイントでこけし顔を描いて完成させた。高橋副理事長は「地元のおみやげを届けたかった。日本文化を知ってもらえたら」と話している。
 (加藤拓)



中日新聞 8月22日‎
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